石田先生、天使になる⁉︎
石田先生、地獄へ⁉︎
闇。それはどこまでも深く、どこまでも潔い。命の光が消えた時、未曾有の音を軋ませ、地獄の門が開くという。耳で聴くのではない。骨が震えるその音を、五感全てが受け入れた時、暗闇に飲み込まれるであろう。中には、暖かいという輩もいる。中には、溶け合うと笑う曲者もいる。さすれどそれも、瞬きをすれば跡形もなく消え去ろう。慈悲など笑止千万。慎み深さという一点の光が灯る時、門の音が襲いかかる。其方が闇となるのだ。泳いでも着かない岸、飛んでも止まれない枝、さぁ足掻け足掻け。ひとかきする毎に鬼になろうて。赤か青か紫か?それはもう醜悪の塊となって生きるがよい。決して尽きることのない命、それこそが地獄の醍醐味なのだから__。
「おい‼︎こいつをどうにかせい‼︎」
「なに閻魔?聞こえないんだけど」
「このケルベロスを早く諌(いさめ)ぬか‼︎」
「ケルベロス?あの地獄の門番のー?」
「どっからどうみても、この狡猾な黒さはそうであろう‼︎」
「いやそれパグだし。サッちゃん連れてくの忘れてるし、なんだか地獄までついてきたし」
「地獄に堕ちる、それが娘を戻す条件だからな。お前はこれから、地獄の恐ろしさを嫌というほど味わうがいい。どれだけ泣き叫んでももう地獄からは逃れられん‼︎地獄が__顔を、我(わ)の顔を舐めるのをやめい‼︎」
閻魔様の恫喝にも全く動じない、我らが半蔵。
「早くおとなしくさせんか‼︎」
「仕方ないなー。ほら半蔵、モスバーガー‼︎」
そう言うと、噛んでいた髭を離し、一発で駆けてきた半蔵でありました。
愛でたし愛でたし。