石田先生、天使になる⁉︎
「オッさん、地獄に来たんだ‼︎やっぱりそうだと思った‼︎オッさんには生温い天国なんかより、血みどろの地獄が似合ってるから‼︎」
私(悪魔)は、艶かしい微笑みで頷いた。
しかし私に託された任務は、この石田先生とやらの鼻を挫くこと。それを閻魔様から仰せつかった。
これから地獄のフルコース巡りだ。
意気消沈させるというわけ。
「オッさん、行くよ」
「いや、石田だし。なんなら石田先生と__」
「じゃ、石ちゃんね」
「石ちゃん?それだとオーバーオールを着ないといけないけどな」
「じゃ石ちゃん、まず灼熱地獄から紹介するから」
ウケるくらい熱いからと付け加え、私は湯が煮えたぎる温泉にやってきた。
「はい入って♡」
「いやいや、暑すぎてボコボコ言ってんじゃん。無理だって」
さすがの石田も腰が引けている様子。
あの悪魔の囁きは口先だけの話だったか?私としては少しは見込みがあるからと期待してたのに__。
「まず君が入りなさいよ」
「はぁー?」
「それが民主主義ってもんでしょうよ?まず物事を提議したものが、身を持って示す。自分が出来もしないものを他人に求めるのはフェアじゃない。そう習わなかった?」
「てか熱いから無理」
「君が無理なもの、どうして僕が無理じゃないと言い切れるわけ?」
「いや、それが地獄だし」
「なら地獄を根本から改め直すいい機会だね。設定温度を変えるべきだ。暑くなく、といって湯冷めしない程度で、肩こりなんか治る効能があれば尚良し」
「温泉じゃないから‼︎」
「押すなよ、絶対に押すなよ‼︎」
「熱湯コマーシャルでもないから‼︎」