石田先生、天使になる⁉︎


「なにここ?」


「ここは地獄の離れ島。どんな屈強なやつも、泣いて許しを乞うくらい、恐ろしいところなの」


悪魔である私だって、できたら立ち入りたくないデンジャラスゾーンだ。


あまりのおぞましさ故、隔離されて島となったほど。


ここに島送りにされた罪人は、ありとあらゆる拷問を受け、やがて灰となる。


それほどまでに危険な島だ。


なぜなら、この島を取り仕切っているのが__。


「鬼ヶ島というわけか」


島に降り立った先生の声も、心なしか震えている。


赤、青、黒、これだけの鬼が金棒を肩に闊歩している様は、まさに地獄絵図。


これから、阿鼻叫喚の責め具を味わって、恐怖のどん底に落ちてもらおう。ほら、早速もう取り囲まれている。今にも喰らわんと、鬼どもは大口を開けて先生に飛びかかった‼︎


「わん‼︎」


わん⁇


「もう、半蔵大人気だよ。鬼をも虜にするつぶらな瞳は健在だよね」


輪から弾き飛ばされた石田先生は、ちょっと誇らしげにも見える。


「ちょっと‼︎勝手に写真撮らないでくれる?事務所とおしてよ。とりあえず並んで‼︎ほら、そこの黄鬼‼︎君も抱っこしたいなら並ぶ‼︎」


いきなり鬼を整理し始めた。


「インスタ映え間違いなし‼︎半蔵と抱っこで記念写真、一枚1000円‼︎もれなく顔舐めのオプションつきだよ‼︎鬼とパグ、このミスマッチにイイねもギネス級‼︎」


なんだか上手いこと言いながら商いを始め、それに満面の笑顔で並ぶ鬼ども。


「ちょっと君、なにボサっと突っ立ってんの?カメラ役やってよ。2割あげるから」


「2割?」


「なに不服?仕方ないな、あとで半蔵を腕枕させてもいいよ。これ特別だからね」


先生の囁きが聞こえたのか、鬼どもが黄色い声を上げる。


悪魔の腕の中で眠る、ある意味、悪魔のような犬。


よし、インスタのタイトルは決まった♡



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