石田先生、天使になる⁉︎
「宇宙人が襲来⁉︎」
石田先生が声をひっくり返すのも無理はない。
「でも本当なんです。地球を襲い始めています」
「このままでは、この世が機能しなくなる。なんとか食い止めんといかんな」
閻魔様も、これ以上ないくらい難しい顔をしている。
閻魔様が言う「この世」とは、こちら側のこと。即ち天国と地獄だ。
だからなんとしてでも、侵略を阻止しないと。
「しかし、目的はなんだというのだ?」
「それが、迎えに来たとか来ないとか?」
「迎えに?」
誰もが首を傾げる中、聞いたことのない声が上がった。
「あ、それ僕」と__。
各々が互いの顔を見合わせ、さらに首を傾げる。
今、誰が言ったのか?
「だからそれ、僕」
各々が視線を下げた。
首の角度はもう、えらいことになっている。
「帰らなきゃいけない。約束の時間を過ぎたから怒ってるのかも」
「んー、それより1ついいかな?」
「なに?石田」
「いや、呼び捨てはどうなの?曲がりなりにも僕、飼い主だったけど?」
「飼い主ねぇー」
「な、なんだその疑いの眼差しは‼︎前々からおかしいと思ってたんだ!表情があり過ぎるって」
「だって、僕のおやつのボーロ、いつも半分は食べるし、散歩に行っても寒いからって5分で帰るし、ドッグランで1番はしゃいで走ってるし、赤ちゃん言葉で僕に話しかけて__」
「もう、やめてくれないかな?」
「分かったらちょっと黙っててくれる?」
「__はい」
一体、どっちが飼い主なんだか。