復讐劇は苦い恋の味
痛む膝を見ると擦りむけて出血していた。

そんな私にぶつかってきた男子は、さらに酷い言葉を浴びせてきたんだ。


『あー、無駄な肉があっても血は出るんだな。なに、痛むの? おい、君嶋お前が俺を押すから関が怪我したんだし、お前が責任もって保健室連れていけよ』

え……君嶋くんが?

膝を抱えたまま顔を上げると、たくさんの男子の中で彼……君嶋くんは冷めた目で私を見下ろした。

『はぁ? 無理だろ。こいつを保健室まで運んだりしたら、俺の方がもっと怪我するし』

浴びせられた非道な言葉が、鋭いナイフと化し私の胸の奥深くに突き刺さった。

これには周りにいた男子たちは一瞬黙るも、すぐにワッと笑いが起こった。

『君嶋、お前言い過ぎ』

『でも朝陽の言う通りじゃね? 関を運んで一階まで行く前に、こっちが力尽きるって』

『誰もこんなデブ、運べねぇよな』

次々と言われた心ない言葉の数々を今も覚えている。忘れたくても忘れられなかったから。

その後、騒ぎを聞きつけた先生が手を貸してくれて、私を保健室まで運んでくれた。
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