復讐劇は苦い恋の味
私が昔みたいに太っても、あなたは同じように運んでくれようとする? それとも昔のように『俺の方が怪我するから無理』って言う?

ジッと彼を見つめたまま尋ねると、君嶋くんは私を見て笑みを零した。


「美空ちゃんが俺より重くなるほど太っちゃったら、そうだな……。その分俺も身体を鍛えて美空ちゃんをこうして抱けるようにするかな」

「……え?」

意外な返事に目を見開いてしまう。

そんな私を見て君嶋君はクスリと笑った。

「もしかして美空ちゃん、太ったら俺が相手にしなくなるとでも思った?」

「それは……」

図星を突かれ、言葉に詰まる。

だってそうでしょ? 太ったらきっと昔の私の面影が出て、君嶋くんは気づくはず。

それに太りやすい体質で、気をつけていないとまた昔みたいな体型に戻っちゃう。

そんな私は歳を重ねるごとに痩せにくい身体になり、ぶくぶく太っていっちゃうかも。

それでも君嶋くんは、今と同じように私に接してくれるの?

彼の真意が知りたくて答えを待つ。

ちょうど車の前に到着したものの、彼は私を下ろすことなく抱き抱えたまま答えた。
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