復讐劇は苦い恋の味
「だったら素直に恋愛を楽しめばいいじゃん。いつまでも過去に縛られていたって、いいことなんてひとつもないでしょ?」

「……うん」

朋子の言う通りだと思う。いつまでも過去に縛られていたって、いいことなんてひとつもない。

時折苦しい記憶を思い出し、胸を痛める日々とはいい加減さよならしたい。

「それにトラウマの原因になった彼と再会できたのも、私は意味があるんじゃないかなって思う」

「……意味?」

どういうこと? 聞き返すと朋子は食べる手を休め私を見つめた。


「トラウマを克服するにはさ、トラウマを作った元凶と対峙しないと克服できないと思うから。……過去を忘れるには彼としっかり向き合うことじゃない? 今の彼は昔とは違うってわかれば、克服できるんじゃない? ……まぁ、一番は彼が美空に謝ることだと思うけどさ。……あんたは自分の正体を彼に知られたくないんでしょ?」

なにもかも見透かしたような目で言う朋子に、戸惑いながらも頷いた。
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