復讐劇は苦い恋の味
君嶋くんが昔自分がいじめていた相手だと気づいていないのなら、そのままでいいと思っている。

このまま“常盤美空”として接して欲しいと。


そうすればこの先もずっと、彼は私に甘い瞳を向けてくれるはず。……昔のような見下すような冷めた目で見られることは、二度とないはずだから。

「でもさ、それってずるくないかな？」

お弁当箱の中に残っているおかずを見つめたまま、ポツリと漏れた本音。

「え、ずるいってどうして？」


「私も気づいていないのなら、それでいいかもしれないけどさ。……私は会った時から気づいていたわけじゃない？　それなのにこのまま黙っていてもいいのかなって思って。……このまま彼と一緒にいるのはずるい気がするの」

この先もずっと君嶋くんに気づかれないという保証はない。一緒に過ごす時間が増えたら、いつか気づく日がくるかもしれないもの。

朋子は口を挟むことなく、私の話に耳を傾けた。そんな彼女に自分の想いを吐露していく。
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