復讐劇は苦い恋の味
君嶋くんが私にしたことを到底許せるはずなどない。でも彼は彼で悩み苦しんでいたんだ。

なぜだろう、どうして君嶋くんの話を聞いて私が胸を痛めなくちゃいけないんだろう。


それだけのことをしたのだから、神様が与えた罰だって心の中で笑えばいいじゃない。……なのにどうして笑えず、ズキズキと胸が痛むのかな。

痛みに耐えるように唇をギュッと噛みしめた。

「でもお見合いに乗り気になれなかったのは、ずっとあなたのことが気になっていたからかもしれません」

「……えっ」

彼を捕らえると、真っ直ぐ優しい眼差しを向けていた。

「笑顔が素敵で、気遣いができて、いつも仕事に一生懸命で。……松本さんからあなたの話を聞いて、ますます惹かれました」

さっきまでズキズキと痛んでいた胸は、今度は忙しなく早鐘を打つ。

優しい眼差しは甘いものへと変化しても、私は彼から視線を逸らせずにいた。


「やはりふたりで会って話さないことには、知れないこともありますね。……今日は勇気を出してお誘いして本当によかったです。やっぱりあなたは他の女性とは違うようですし」
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