復讐劇は苦い恋の味
「俺は常盤さんとそんな風に関係を築けていけたら……と願っています。なので今のように自分の気持ちを伝えてくれて嬉しかったです。……これでまたひとつ、常盤さんのことを知ることができましたから」

「……っ!」


なにそれ。君嶋くんなんて大嫌い。……大嫌いなはずなのに、どうして私はドキドキさせられてしまっているのだろう。彼の言葉が嬉しいって思っちゃったのかな。


「好きなものや嫌いなもの、これからも教えてください。……ずっと勝手にあなたのことをイメージしていましたが、実際のあなたはとても魅力的な人です。自分の意見をはっきり言え、こういったお店によく行くと教えてくれて……。フフッ。初デートでこのような場所に来たのは初めてでとても新鮮でした」


は、初デート!? 聞き慣れないワードに、カッと顔が熱くなる。

そっか、私は君嶋くんに復讐するために来たけれど、彼は違うんだ。……初デートだと思ってきたんだ。

そう思うとますます顔の熱が上昇してしまう。

そんな私を見て君嶋くんは目を丸くさせた後、手で口元を覆った。
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