復讐劇は苦い恋の味
第四話『あなたはなんて残酷な人』
「どうしてそのタイミングで自分の正体をバラさなかったの!? 『私もあなたに傷つけられたひとりです』って言えばよかったじゃない!」

日曜日のランチタイム。珍しく朋子と駅前のカフェに来ていた。

それというのも双子のママでもある朋子とは、滅多に休日に会える機会がない。

けれど旦那様の優しい気遣いで、息抜きにと数ヵ月に一度、休日ひとりになる時間を作ってもらい、リフレッシュしているとか。

友達ながら朋子が羨ましくて仕方なく思う時がある。

結婚して可愛い双子のお母さんで、優しくて素敵な旦那様がいて。

私にないものをたくさん持っている朋子が、本当に羨ましいよ。そんな彼女は今日も容赦なく、私にズバズバと言ってくるけど。

「だいたい美空はお人好しすぎるのよ。なによ、一回のつもりがまた会うことになったんでしょ? おまけに今度は休日の土曜日に」

「そう、なんだよねぇ……」

食後に頼んだ珈琲を飲みながら、溜息が漏れた。

金曜日の夜、散々甘い言葉を囁かれ、私は撃沈。

その後も君嶋くんは私のどこに惹かれたか、どういうところが好きかを延々と語ってきた。
< 60 / 293 >

この作品をシェア

pagetop