15歳、今この瞬間を
ロウとリョウ
「井上、さん」
「……」
静かな職員室の中、わざとらしく"さん付け"であたしの名前を呼ぶのは、今日から担任になる女の先生だった。
名前は……なんだっけ。
先生は、続けて大きなため息をつくと立ち上がり、あたしを見下ろした。
あたしの身長は150センチしかないーー大抵の人を見上げなければならないことに、14年も生きてればいい加減慣れる。
そして今年の誕生日が来れば、あたしは15歳になる。
「井上さん、前の学校でもそんな風だったの?」
「……」
「学校には、校則というルールがあるの。わかるわよね?」
「…」
あたしが何も言わないせいか、再び大きなため息をついた先生は「直さなきゃダメよ」とだけ言ってから、あたしを誘導しながら歩き出した。
先生が指摘していたのは、あたしの髪の毛の色について。
中学に入った頃くらいから、あたしは髪の毛の色をかなり明るくている。
「……」
静かな職員室の中、わざとらしく"さん付け"であたしの名前を呼ぶのは、今日から担任になる女の先生だった。
名前は……なんだっけ。
先生は、続けて大きなため息をつくと立ち上がり、あたしを見下ろした。
あたしの身長は150センチしかないーー大抵の人を見上げなければならないことに、14年も生きてればいい加減慣れる。
そして今年の誕生日が来れば、あたしは15歳になる。
「井上さん、前の学校でもそんな風だったの?」
「……」
「学校には、校則というルールがあるの。わかるわよね?」
「…」
あたしが何も言わないせいか、再び大きなため息をついた先生は「直さなきゃダメよ」とだけ言ってから、あたしを誘導しながら歩き出した。
先生が指摘していたのは、あたしの髪の毛の色について。
中学に入った頃くらいから、あたしは髪の毛の色をかなり明るくている。
< 1 / 287 >