15歳、今この瞬間を
突然あたしの髪の毛をわしゃわしゃしてきた佐久田くんは、また楽しそうに笑っていた。

「もーっ、やめてよねー!」

「わはは!」

その笑い声が響いて、空気が晴れやかになる。

乱れた髪の毛一本一本に、佐久田くんの感触が残っているようで…。

「……」

不覚にもドキドキしているなんて、相変わらず免疫ないな、あたし。

「よし、まずはここ。全部の感想なんて書けないから、良さげなとこだけメモって行くんだ」

あたしがなるほどと感心している間に、佐久田くんは1ー2の教室に入って行き、シャーペンとメモ帳を取りだしていた。

それにしてももう何事もなかったようにしてるんだもん、ちょっとだけ腹が立つ。

「…夢希もメモとってな?」

「あ、うん」

わたしは制服のポケットからメモ帳とシャーペンを取り出すと、

「あ……!」

カチャン!と勢いよく、シャーペンを落としてしまった。


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