15歳、今この瞬間を
「夢希ちゃんも食べるー?おいしいよ」

「うん」

やっぱり小野さんはお母さんに似ているなーーそう思いながら、ドーナツを一口食べた。

「……」

あたしは、ありさちゃんに似ているらしいけど…。

「ーー小野さん」

「なぁに?」

あたしは、少し考えてから口を開いた。

「小野さんは、ありさちゃんって子のこと…知ってる?」

「ありさちゃんって、あのありさちゃん?」

小野さんは、目をくりんとさせながらあたしを見ていた。

「そう、だと思う」

小野さんの口のまわりについているドーナツのカスが、あたしの中のシリアス度を下げていた。

けっこう勇気を出してありさちゃんの名前を出したのに、そんなこと小野さんには伝わっていないようだった。

「う〜ん……わたし、ありさちゃんとは小学校が違うから、直接は知らないの」

そう言って小野さんは、口のまわりをペロリとなめた。

「佐久田くんと菊谷くんと仲良かったらしい、って話はうわさで聞いたけど…。ありさちゃんって亡くなっちゃったんだよね、病気だったみたいだよ。菊谷くんに聞いてみたらいいんじゃない?」



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