15歳、今この瞬間を
なにこの展開は。

「そうそう、俺らの家は逆方向だからな」

菊谷くんが、佐久田くんの言葉に同調して言った。

「……」

あたしは気づかれないように、斜め上を見上げた。

あたしの家は、学校から10分もあれば着いてしまうーーー道路を渡ったあの茶色のマンションがそうだけど、教えたくない。

どうしよう…困った。

ひとまず通り過ぎて策を練ろうかな…なんて考えていた時、背後からプッと軽いクラクションの音が聞こえたかと思ったら、

「夢希ちゃん今帰りなの?乗る?」

輪郭のないふわふわとした声が、あたしの名前を呼んだ。

「お母さん……」

ナイスタイミング、お母さんの車に乗ってしまえば、この2人と別れられる。

「あら?あなたたちは?」

「夢希さんのクラスメイトで、菊谷です。こっちは佐久田。迷惑でなければ、これからおじゃましたいと思っていたところなんですけど…」

さすが学級委員、優等生の回答だわね…なんて感心してる場合じゃない、あたしはそれを阻止したいのだから。

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