15歳、今この瞬間を
「えっ、夢希ちゃんのお友達⁈2人も⁈お買い物の荷物があるから3人は乗れないわね。そこの茶色のマンションが家だから、待ってるわね。じゃあ夢希ちゃんも後でね」

「ちょっとお母さん…!」

お母さんは嬉しそうに言うと、あたしが止めるのも聞かずにさっさと行ってしまった。

余計なこと言わないでよ…。

「あそこが夢希の家かぁ、近くていいな。よし、行くか」

佐久田くんが、ニィっと笑った。

あたしは、ガックリと落ちそうな肩を何とか持ち上げた。


「ただ…」

「おじゃましまーっす!」

「ただいま」と言おうとしたあたしの声は、佐久田くんの明るい声に掻き消された。

「おかえり、良く来てくれたわね2人とも。おばさん嬉しいわぁ。座って、コーヒー飲めるかしら?」

食器棚からグラスを取り出しながら、鼻歌を歌いだしたお母さん。

「オレはコーヒー飲めねぇわ」

「俺はコーヒーいただきます」

前者が佐久田くんで後者が菊谷くん、お母さんはそれぞれに笑顔で対応していた。


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