15歳、今この瞬間を
「何もない毎日なんて、ないからな」

佐久田くんの言葉は、やっぱり真っすぐで。

「生きてれば、笑うこともできる。なっ」

「…」

あたしはそれを、避けたいのか受け止めたいのかーーー出会って2日、まだわからないでいた。

結局あの2人は、1時間くらい家にいただろうか…お母さんがなかなか放さないから、さすがに申し訳なく思った。

2人の家は、学校からあたしの家とは逆方向に20分ほどかかるらしい。

ということは、あたしの家から30分くらいかかるということで。

お母さんに「送ってあげたら?」って言えば良かったかな。


「夢希ちゃん、あの2人とってもいい子たちね。また連れてきてね!」

軽快なリズムで野菜を切りながら、お母さんはまた鼻歌を歌っていた。

「……」

どうでもいいか、佐久田くんと菊谷くんが勝手について来たんだから。

あたしは晩ごはんの時間まで、いつもそうしてきたように、自分の部屋にこもって宿題をしたりして過ごした。

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