15歳、今この瞬間を
でもまた引っ越しをすれば、ここ名古屋が出身地的な扱いを受けるのだろう。

そんなことにも、もう慣れた。

先生をチラ見すると、まだ何か言って欲しそうな顔をしていた。

「……血液型はB型で、誕生日は8月1日。身長は…」

「もういいわ、ありがとう井上さん。みんな仲良くしてくださいね」

面倒くさそうにプロフィールを並べ始めたあたしを、先生はあきれたように制止した。

自己紹介なんかどうでもいい…どうせみんな高校生になればバラバラで、見かけても素通りするんだから。

それにあたしは、またいつ引っ越すことになるかわからない。

仲良くなっても、離れてしまえばそれで終わり。

小学生の頃は仲良くなった子と文通したりしていたけど、半年もすればすっかりなくなってしまう。

そんなもんだ。

いつしかあたしは、人との関わり方がわからなくなっていった。


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