15歳、今この瞬間を
中学生にもなるとグループとやらが確立されていて、あたしの入っていける隙間などなかった。

たまに近づいて来る子たちの相手も面倒で、近づいて来ないようにと外見を派手にしていった。

「井上さんは、あそこの空いてる席ね」

先生が指差したのは、真ん中の列の1番後ろの席だった。

あたしは黙って席まで行くと、リュックをおろして席についた。

たくさんの視線がついてきて、うっとうしい。

でも転校生に興味を示すのなんか、せいぜい最初の3日くらい。

それが過ぎれば、またいつもの毎日に戻る。

「佐久田くん、今週中は教科書を見せてあげたり、色々頼むわね」

「ん?ふわぁい」

佐久田と呼ばれたその彼の声はとても眠そうで、あたしの隣の席から聞こえてきた。

当たり前だけど、新しい教科書がもらえるまで、教科書見せてもらわなきゃいけないんだ…よろしく、くらい言っておいた方がいいかな。

「よ、よろ…」

「ねぇ、井上さんって生まれたのはどこなの?」

え……。

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