15歳、今この瞬間を
キーン…コーン……

「井上さん机くっつけようか、教科書見えないでしょ」

1限目が始まって、あたしと佐久田くんはガタガタと机を動かした。

「…」

佐久田くんは、あたしのことを何とも思わないのだろうか。

髪の毛の色やスカート丈…校則違反しまくりのあたしは前の学校でも避けられていたのに、彼は普通に接してくれてる気がする。

転校生の隣の席になった、という責任感からなんだろうか。

距離が近くなったことで目に入ってきた教科書やノートには、元気の良い字で"佐久田朗"と書かれていた。

佐久田…ロウ?何て読むんだろう。

窓から入ってくる風が、あたしの髪の毛を揺らしたーー。

「ねぇ井上さん、身長何センチなの?」

「はい?」

突然の佐久田くんからの質問に、変な声が出てしまった。

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