only




「ねえ」


声をかけられたのが私だと、すぐには気づけなかった。



「…え?」



さっきまではザワザワとしていた教室が、静まり返る。


私を見る目が痛いほど冷たくて。




ーーああ、まただ。



「あんた私が転校って聞いて喜んだでしょ」



また教室がざわつき始めた。

信じられない、悪いのは山本さんなのに




そんな私を批判する声ばかりが聞こえてくる。





その日の夜は


体にできた傷が疼(うず)いて、眠れなかった。

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