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第1章
Spring
揺れる黒髪。
風が桜の花びらと一緒に吹いて、
私の髪に付く。
そんなこと知らないまま、スマホ片手に迷子になりかけていた。
〝あれ…なんで着かないんだろ〟
不安になりながら、辺りを見回す。
あるのはすっかりピンクに色づいた木々と閑静な住宅街のみ。
ここ坂上旭町は、その名の通り坂の上に位置する。
私がこれから通う高等学校も、この町にあるはずなんだけど…。
「あのー」