only
ーーードキン。
彼にまで聞こえてしまうんじゃないかってくらい、大きな音。
そのあとは、ドクドクと胸が鳴っていた。
何秒くらい、見つめあっただろう。
二秒?三秒?
もっと長く感じた。
廊下から他の生徒たちの声が聞こえてきて、慌てて目を逸らした。
「やっとこっち見てくれた」
そうしてまた、笑うから。
友達って言ってくれた今朝のことを思い出してしまう。
おかしいな、涙なんてもうとっくに枯れたはずなのに。
ーーああ、私はやっぱり希望を求めてたんじゃない。