only



まっさらな教科書。

高校に入り、教科が増えたため男の俺でもなかなか重い。

だから3分の1はロッカーに入れてきたし、みんなもそうしていた。



なのに彼女は、全部を鞄の中に詰め込んでいる。



俺は少し笑って、誰もいなくなった教室に入った。


「1度に全部持って帰る気?」


何度目だろう、この驚きの表情。
そんなに話しかけられるのが珍しいのかな。



「重いでしょ、ロッカー置きなよ」


あ、おせっかいだと思った?
余計なお世話か……。



< 43 / 87 >

この作品をシェア

pagetop