only
まっさらな教科書。
高校に入り、教科が増えたため男の俺でもなかなか重い。
だから3分の1はロッカーに入れてきたし、みんなもそうしていた。
なのに彼女は、全部を鞄の中に詰め込んでいる。
俺は少し笑って、誰もいなくなった教室に入った。
「1度に全部持って帰る気?」
何度目だろう、この驚きの表情。
そんなに話しかけられるのが珍しいのかな。
「重いでしょ、ロッカー置きなよ」
あ、おせっかいだと思った?
余計なお世話か……。