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私が迷っていた場所からはそんなに遠くなく、彼は走ってもあまり疲れなかったようだ。


ずっと運動をしてない私は息切れしていたけれど。


「あ、ありがとう…」



今にも消えてしまいそうな声。



俯いたまま、呟くようにして言った。



「いいよ。俺も新しい友達できて嬉しいし」


「………友達…?」



何年も聞いてこなかったワード。

いや、目を背けてきた。



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