私のきもち
1.さみしい
 『さみしい』って、言えなかった。
 大切で、大好きな人と一緒に過ごした。
 楽しい時間は終わって、それぞれが現実へと帰る。
 
 駅でお別れをした。さみしくて、ハイタッチしてもらった。大きくてとても暖かい手だった。その手を掴んで離したくないなって思ったけど、我慢した。 
 「ばいばい」って言ったけど、ちゃんと聞こえていたのだろうか。泣いてしまいそうなのを我慢すると、喉の奥がきゅっとなって、うまく声が出ない。
 「またね」って言葉に、また会える日が来ることを願って。
 「また遊ぼうね」が、近い将来になることを願って。                   
 ばいばいがさみしくて、姿が見えなくなるまで見送った。
 
 一緒に過ごした、短い時間だったけれどとても楽しかった時間を思い出して、電車の中で少し泣いた。
< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop