俺と恋をしませんか?


「お、小田切くんも学食ですか?」

「うん」

「美味しいですよねー、うぷ……っ」


菅原の顔が酸素不足で青ざめていく。

よく見ると上履きも片方履いてないし、人の波に持っていかれたんだろう。


この戦場は生半可な気持ちじゃ勝てない。だからひ弱な女子や人混みが苦手なヤツらは最初から自分で弁当を持参する。

どう見てもコイツは軟弱だ。


「諦めれば?」

たぶん食堂のおばちゃんにたどり着く前に死ぬ。


「イヤですっ……。絶対買いたいものがあるんです!」

そんな涙目になりながら言われても。

俺は「はあ……」とため息をついて、髪の毛をガシガシと掻いた。


「なにが食いたいわけ?」

色んなものが売り切れていく中で、俺のお目当てのカツ丼と三色そぼろご飯はまだ残っている。
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