俺と恋をしませんか?


「や、焼きそばパンです」

一応確認すると焼きそばパンは残りふたつ。

この学食の人気ベスト10に入ってるぐらいだからいつもすぐ売り切れることで有名だ。


「諦めな」

前には野球部のヤツらが集団でいるし、あいつらは絶対に焼きそばパンを狙ってる。


「イヤです……絶対買いたいです」

「今日じゃなくてもいいだろ」

「だって今日、頼まれたから」

ぐすんと鼻をすする菅原に俺は再びため息。


なんだ、そういうことか。


やけに必死だなと思ったけどコイツは本物のバカなんじゃねーの?

青ざめていく菅原を冷たい視線で見下ろしたあと、俺はその身体を人混みの外へと突き飛ばした。


「なっ……」

「邪魔だから、どけ」

声にならない菅原。

それもそうだ。あんなに必死こいて並んでたのがこれで水の泡。


そのあと俺は無事にカツ丼と三色そぼろご飯を買うことができた。

ちなみに焼きそばパンは案の定、すぐに売り切れていた。

< 6 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop