俺と恋をしませんか?
「や、焼きそばパンです」
一応確認すると焼きそばパンは残りふたつ。
この学食の人気ベスト10に入ってるぐらいだからいつもすぐ売り切れることで有名だ。
「諦めな」
前には野球部のヤツらが集団でいるし、あいつらは絶対に焼きそばパンを狙ってる。
「イヤです……絶対買いたいです」
「今日じゃなくてもいいだろ」
「だって今日、頼まれたから」
ぐすんと鼻をすする菅原に俺は再びため息。
なんだ、そういうことか。
やけに必死だなと思ったけどコイツは本物のバカなんじゃねーの?
青ざめていく菅原を冷たい視線で見下ろしたあと、俺はその身体を人混みの外へと突き飛ばした。
「なっ……」
「邪魔だから、どけ」
声にならない菅原。
それもそうだ。あんなに必死こいて並んでたのがこれで水の泡。
そのあと俺は無事にカツ丼と三色そぼろご飯を買うことができた。
ちなみに焼きそばパンは案の定、すぐに売り切れていた。