俺と恋をしませんか?


「私、バカなんですか?」

「うん。利用されてるだけだっていい加減気づけば」

菅原がクズと付き合い始めたのは2か月前。噂では公衆の面前で男のほうから菅原に告白したらしい。

恋愛経験も男を見る目もないコイツがそんな周りが騒ぎ立てる雰囲気の中で断るスキルなんて持っているわけがない。


「最初は優しかったんですよ。私のことを一目見た時から気になってたって言ってくれて」

「………」

「嬉しかったんです。だって全然取り柄もない冴えない私に大輔先輩が好きだって言ってくれたんです。……嬉しかったんですよ、私は」

菅原の瞳から大粒の涙が流れた。


誰とも付き合ったことがなかったから、なにもかもが一生懸命だった。

だから尽くした。言うことを素直に聞いた。

それが間違いだとは気づかずに。


「付き合うってなんですか。恋愛ってなんですか。意味わかんない……」

さあ、なんだろうね。

俺はモテるし女に困ったことはないし、コイツよりは色んなスキルを持ってる。

でも偉そうに恋愛を語れるかと聞かれたら自信がない。
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