海へ...
「な、びっくりしただろ。オレだって、昔は魚をそのまま食えるなんて思ってなかったんだ」

「カオルも食べれなかったの?」

「ああ。でも、仏教の勉強をするうちに、もしかして、魚ってそのままでも食えるんじゃないかなって思ったんだ」

「仏教ってスゴイ!」

「オレたちの目が、いかに先入観によって曇らされているか、分かっただろう?」


あたしは、気付いたら泣いていた。

カオルに叩かれたことが悲しくて泣いてたんじゃない。

この世の真理を悟ったことが、嬉しくて泣いていたんだ。


そして、お相撲さんに謝りたいと思った。


「ひどいことをいって、ごめんなさい」


って。

あたしはお相撲さんのことを、太っちょだとか、隠蔽体質だとか、そういう先入観ばかりで見てた。

お相撲さんがあたしに好意を持ってくれても、あたしはそれを、迷惑だとすら思っていた。

でも、今は違う。

お相撲さんに心から謝れる!

人を見た目や体型なんかで差別しちゃダメだって気付いたの!


ゴータマさんにも、ごめんね。

マッコウ臭いとか、先入観ばかりで、仏教のことを批判していた。

でも、仏教には本当に素晴らしい教えがあったんだね。

カオルは、あたしの蒙を啓き、悟りへの一歩を歩ませてくれた。

本当に嬉しかった。

どんな宗教も、みんな素晴らしいんだ!

知らない宗教を先入観で批判しちゃダメなんだ!
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