愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
腕時計に目を向けると、まだ夜中の3時を過ぎたところだった。
まだまだ寝られる時間はたっぷりとある。
俺はそのまま時計も外すとそれをベッドサイドに置き、梨央の方へと手を伸ばす。
「熱は…?体調はどうだ?」
驚いたように壁際に背中を付けた梨央の額にそっと手を添えた。
熱はまだありそうだが、薬が効いてるのかさっきよりは少しましなような気がした。
「寝る前と比べたらだいぶ楽に…。あの、心配かけてごめんなさい」
「いや、お前が無事ならそれでいい」
潮らしく謝る彼女の瞳をじっと見つめると次第に顔が赤くなっていくのが分かる。
一瞬意外そうな顔をされたものの、照れた素振りで目を反らした様子に何だかくすぐったさが込み上げる。
「コ、コウさんが優しい……」
「俺はいつだって優しいだろ?」
ん?と覗き込むようにして顔を近づけたら、やっぱり焦ったように梨央が俯いてしまう。
今日の彼女は弱ってるせいか、やたら儚げで潮らしい…
そう思ったら、やっぱり可愛く思えて俺は微笑ましく笑ってしまう。