愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
それから梨央と一緒に向い合わせで横になると、俺は無意識に彼女の髪を撫でていた。
気付くとつい、こうしてしまう。
俺のマンションに泊まるときと同様、もはや癖になりつつあるこの行動。
柔らかなねこっ毛の髪質がふわふわとしていて気持ちがよく、俺好みの髪質だといっても過言ではない。
「途中苦しくなったら遠慮なく起こせよ」
彼女の頷きを確認すると、俺も疲れたように目を閉じる。
シングルベッドに大人が二人。
正直窮屈さがあるのは当たり前だが、たまにはこういうのも新鮮でいい。
梨央を必要以上に抱き寄せてくっついて、お互いを温め合うのも案外悪くないと思う。
「あ、汗臭くないですか?」
「全然、気になるなら朝起きたら一緒にシャワーでも浴びるか?」
悪戯に言葉を選び、梨央の耳元に囁くと面白いぐらい腕の中の体がビクついた。
「俺が体の隅から隅まで綺麗に洗ってやるよ」
「…い、言い方がいやらしいですよ?」
「これも看病の一貫だ」
と笑いを含みながら言えば、やっぱり困った素振りを向けられる。
梨央の手がトンっと俺の胸を叩く。
「…スケベ……」
「何とでも?明日はずっと一緒にいてやるから安心してゆっくりしてればいい」