愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
それを聞いて「えっ」と続けざま梨央の声が届く。
明日はクリスマスイブ。
「でも仕事は?明日は夜まで仕事だって?」
驚くように聞かれた俺は目をつむったまま大丈夫だと安心させるように言葉を繋いだ。
「やることはもうない。今日中に終わらせた。明日は俺も1日のんびりすることにするよ」
とりあえず今追っていた事件は一段落した。というよりさっさと終わらせた。
今回も思ったより事件解決に時間がかかってしまったが、気合いで犯人を追い詰めた。
さすがの俺もこうも働きづめだと心身ともに疲れてくるのも無理はないわけで、たまにはちゃんとした休息が欲しくなる。
「本当に?大丈夫?」
……すると、梨央の口からかそんなか細い弱々しい声が聞こえた。
その声に再び目を開けると、やっぱりどこか腑に落ちない梨央の表情が「平気?」と俺を見つめてくる。
「無理してない?」
「無理してるように見えるか?」
梨央が何か言いたそうな顔をする。
その様子からしてやっぱり俺に気を使ってるように見え、俺は考え込み、ふいに撫でていた手を止めた。