愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
「当たり前だ。俺を誰だと思ってる」
そんなの決まってるよ。
私はクスッと笑みを溢し、正直な言葉を口にする。
「優秀な刑事さん…」
そう言えば、満足そうに私の腕に彼の手が添えられる。
その力強さに私は今までどれだけ救われてきたのだろう。
この手だけは私の見方。絶対に離したくない、大切な愛しい温もりだもん。
「分かってればよろしい」
「頼りにしてますよ、刑事さん」
そう言うやいなや気付いたら目の前の頬にキスをしていた。何だか無性にしたくなり私は甘えるようにそのままコウさんの耳元にも唇を寄せ、そっと触れるだけのキスをした。
「コウさんは私だけのボディーガードです。絶対絶対私の側から離れないでね」
「…ああ……」
「…だから……助けてください。なんだかお腹が空きました」
「は?」
「熱が下がったら少し食欲がでてきたみたいで…、何か食べさせくれます?」
まずは健康第一。
腹が減っては戦はできぬ。
ここは目の前のコウさんに腹ごしらえを頼んでみる。
だって生理的欲求には逆らえないんだもん。
一瞬ポカンとした横顔にニコリ笑い、私はそのままコウさんが作ったお粥が食べたいとリクエストすると、彼の顔があからさまに呆れたように変わる。