愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

「吹っ切れた女は強いですよぉ」

「怖い、の間違いだろ。我が儘とこき使うのじゃ違うんじゃねーか?」

「なんとでも言ってくださーい。好きな人に甘えて何が悪いんですか」


ね?ともう一度畳みかけると、やっぱり呆れた顔したコウさんと真っ直ぐ視線を絡ませ合う。

そのまま数秒見つめ合ったけど、先に降参したのは意外にも彼の方だった。


「たくっ、小悪魔が…、お前には負けるよ」


珍しく困り顔なんて見せた彼は、私のおでこをピンと指で弾く。

だけどその顔が満更でもなさそうだから自然と笑みも増えるわけで、


「ふふ、案外言いたいこと言うのって気持ちいいもんですね」


これは病み付きになりそうだ。


「コウさんのこともっと困らせてみたいので、覚悟しててくださいね」

「上等じゃねーか。やってみろよ」


二人して挑戦的に微笑み合った。


なんか、楽しい。
この感じ心地いい。

普通の恋愛ってこんなに楽しいんだ。

今までの支配されるだけの関係とは訳が違う。

お互いを思いあって、お互いの優しさに触れることはこんなにも穏やかで気持ちいい。


コウさんを好きになって良かった。

心からそう思う。

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