愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

そのまま見つめ合うと、コウさんの手が伸びてきて私の頬に添えられた。そしてそっと滑らかに上下に撫でられる。

それがキスの合図だと気づいた私もごく自然に、引き寄せられるように顔を近づけ目を閉じた。


「そろそろいいだろ?昨日からどんだけ我慢してると思ってる」

「ん……」


本当はまだダメだけど…

風邪が移りそうな気がしたけど、唇と唇が触れた瞬間私は逆らうことができなかった。


私も触れたかった。

コウさんに触れて欲しかったんだと気づいた瞬間、突然庭の方からガタガタンッ!と大きなもの音がした。

それを聞くやいなや私の体はビクッとなり、ハッと驚いたようにコウさんと目を見合わせる。



「な、なにっ?」


しがみつく私に対してコウさんは冷静な態度。

怖がる私に「少しそこで座ってろ」とすぐに立ち上がり、音のした庭の方へ迷いなく足を向ける。

そしてリビングの窓を開け、庭の様子を伺いながら外の方へと目を向けている。


私はハラハラと急に落ち着かなくなった。

もしかしたらまた例の犯人が来たのかと思うと、不安と恐怖が込み上げてくる。
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