愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
だけど次の瞬間、コウさんが私に向けた言葉は恐れていた危険なものとは違うものだった。
「猫だな」
「えっ?」
「安心しろ。ただの猫みたいだ。塀の上から落っこちて、下においてあったゴミ箱に当たったみたいだよ」
それを聞いてホッと胸を撫で下ろす。
猫が勢いよく逃げる姿を見たと告げられ、心からはぁ…と、安堵のため息を出してしまう。
し、心臓に悪い…
「…良かった……」
「まぁ、そんなに気にするな。とりあえず安心しろ。お望み通り今お粥作ってやるから」
戻ってきたコウさんが手を伸ばし私の頭にポンと添える。
そのまま安心させるように撫でてくれた。
だから私もうん…、と頷き気を取り直すように「お願いします」と頭を下げた。
それからキッチンの中に案内した私は一通りの材料と器具を取り出すと、後はコウさんに任せることにした。
「コウさんの好きなように使ってくださいね。お粥楽しみにしてます」
そう言うと一旦自分の部屋に戻った。
まだ本調子じゃないせいか若干体のふらつきがある。
もう一度熱を計ると37.6分というすっきりしない体温だった。
せっかくのクリスマスなのに、まだまだ油断はできそうにない。
再びベッドに潜りこんだ私は湯冷めしないようにしっかり布団に潜りこんだ。