愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
………が、そんな私の抵抗は悲しいけど、全くびくともしなかった。
むしろそんな私の態度が気に入らなかったのか、尚更私へのキスは深くなり、体制を崩しかけた私を彼はやすやすと壁際へと追いやった。
「下手な抵抗は余計そそるだけだ」
唇が離れ、至近距離で見つめられた時には、私はかろうじて息をするのがやっとだった。
高揚とほだされた熱で瞳が緩み、彼の全てが熱く揺るんで見える。
「どうだ、少しは頭の中俺でいっぱいになったか?」
鼻と鼻がくっつく距離で言われ、コクコクと頷いた。
おっしゃる通り、頭の中はコウさんでいっぱい。
だってこんなことされなくても、それ以前に私の心はコウさんで溢れてるから。
「コウさ……」
「あんまりハラハラさせんなよ」
コツンと額同士がくっついた。
尚も唇同士がくっつきそうな距離でそんなこと言われたら、当然彼に釘付け。コウさん以外何も考えることなんてできない。
だってこんなにも正直に気持ちをぶつけてくるのが意外で、胸の中にほっこりとしたものが込み上げてくる。
「あいつに多少なりとも心揺らいだりしたのかよ。腐っても初恋の相手だろ?」
「まさかっ」
それは過去の話です。
たまらず顔をフルフルと横に振った。
まさかコウさんがそんな昔に言ったことを覚えてたなんて…。ますます意外。
多少のドキドキはあったものの、慎ちゃんに気持ちが移る訳なんてない。
だって、私は…