愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
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翌日の私の熱はコウさんが宣言した通り、嘘のように下がりすっかり体調の方は良くなっていた。
それが本当に昨晩ベッドの上で汗をかいたのが良かったのかは分からないけれど、とりあえず結果オーライ?
目覚めるとすでに彼は清々しい顔をして起きていて、昨日から荒れ果ていたリビングを掃除し、綺麗に戻してくれていた。
「あ、すみません……」
「いや、体の方は大丈夫か?」
「すっかり、熱も下がりました」
「そうか。腰の方も平気?」
これには彼の悪意を感じ、さすがに不満を向けながら睨みつけた。
「誰かさんのせいで散々です。ちゃんと責任とってくださいよ」
「途中から十分その気だったくせに?」
「あんなのは不可抗力です」
プイッと顔を背け、コウさんが集めてくれたゴミを収集しながらなるべく昨日のことは思い出さないようにした。
正確には今日の朝方のことだけど…
ほだされ続けた熱がまた甦ってきそうだったけれど、それを振り切るように私はキッチンへと向かった。
元気も回復したことだし、まずは腹ごしらえ。
今までのお礼を込めて朝ごはんを作っていると、リビングの片付けを終えたコウさんが私の隣にやって来て、何やら感心したように覗き込む。