愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
それからすっかり気を取り直した私は料理を再開し、コウさんと朝ご飯を食べた。
なんだか少し照れる。
昨日とは違い、とても穏やかな時間だった。
コウさんへの好きがありありと膨らんでいく中、彼はうちの両親が帰って来るのを見届けると同時に「またな」と言って帰って行った。
離れがたい…
そう思ったけれど、彼は最後まで私に特別なクリスマスをくれた。
「お前は危なっかしいからな、男よけだ」
と称したクリスマスプレゼントに心が震えた。
左手の薬指に嵌められたファションリング。それを見た瞬間、懲りずにまた泣きそうになってしまう。
「俺がいない間、よそ見すんじゃねーぞ」
言葉が出ない変わりにコクコク頷いて、車に乗り込もうとした彼の背中に抱きついた。
「これをコウさんだと思って毎日頑張ります」
まるで形見のようだな、なんて笑われたけど、次に会うまでの1ヶ月は単純だけどこれがあればコウさんに会えなくても大丈夫だと思えた。
離れててもお互いの思いは一緒。
そう思えるから強くなれる。
最後にもう一度名残惜しく抱きしめ合うと、私はにこりと微笑み、コウさんの走り出す車を見送った。