愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
そんな慌ただしくもコウさんとの絆がより深まった一週間後、私は慎ちゃんに呼び出され、彼と会うことになった。
久しぶりの電話に最初は戸惑い緊張もしたけれど、どうしても会って話がしたいと言われたら断れない。
私達は昔よく行ったカフェで待ち合わせをすると、テーブルを挟んで向かい合わせに座った。
「慎ちゃ……」
「久しぶり」
改まって目を合わせられない私に慎ちゃんはいつもの笑顔でそう言った。
大人モダンの広々としたこのお店はパンケーキが美味しいお店。
私が好きなお店で、学生の頃よく食べに連れてきてもらった懐かしい場所だ。
私はレモンティー、慎ちゃんはコーヒーを注文するとぎこちない空気の中、彼が唐突にガバッと頭を下げた。
「今回のこと本当に申し訳なかった!」
深々と謝罪なんかするから、掴みかけたグラスをハッと離してしまう。
「本当、なんて言ったらいいか……。しかも被害届けまで取り下げてくれたんだろ?」
慎ちゃんの言いたいことは何となく分かっていた。今日呼ばれた訳も。
だけど、まさかこんな風に会ってすぐに言われるとは思わなかった。よく見ると慎ちゃんの肩が震えてる……。
私は慌てふためき、そんな彼に向かって立ち上がると慌ててそれをやめるように声を向ける。