愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

「あなた中園梨央さんよね?」


そこには一目見て分かるほどのスラッとしたスタイルのいい美人がいた。

この人は確か…
私は目の前のその女の人のことを知っていた。

もちろん初対面だけれど、その人は以前この店でコウさんと何やら怪しい雰囲気をつくってた人だからだ。

とはいっても、彼女の方が一方的にコウさんに絡んでいたのだけど、あの後ちゃんとコウさん本人からも誤解をといてもらったから、今までずっと忘れた存在になっていた人物だ。


「初めましてって、言った方がいいのかしら?」


こうやって改めて面と向かって会うと、息を飲むほどの美しさだと思った。

見れば額は広く、瞳も大きく、鼻すじの通って口元の締まったそれは綺麗なお顔。

背中まで伸び、緩やかに巻かれた髪の毛は女性の色っぽさが出ているし、全体的に見て意思の強そうなキャリアウーマンって感じだ。


「あ、と、初めまして…」


まさか話しかけられるとは思ってなかったけど、こんな形で鉢合わせしちゃったら避けることもできないし、ここは冷静を保ちつつ、当たり障りなく接したほうがいいのだと思った。
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