愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
「さぁ…、どこでしょうね?私も知りたいです」
受け流すようにさらりと言った。
正直こういう嫌味にはなれているわけで、いちいち気にしてたらきりがない。
どうして私はいつもこういう役回りなんだろう。とか思う訳だけどそれ以前にどんな思いで彼女は私につっかかってくるんだろうか?
「もしかして私のことが気に入らないんですか?」
「……いいえ、気に入らないというよりただの個人的な興味本意よ」
「なるほど…」
「だってあの晃一を惚れさせた女でしょ?いったいどんなできた女だって思うじゃない」
それはどういう意味なんだろう…
そもそもコウさんってそんなに凄い人なの?さっきから「あの晃一」とか、「署内じゃ有名なんだ」とか、いかにもコウさんが特別な人みたい。
不思議に思い、改めて仕事での彼のことを尋ねれば目の前の瞳が一変して驚きの目付きに変わる。
「…あなた何も知らないの?」
「え?…何を、ですか?」
「彼の今置かれてる立場やこれからどんなポジションに付こうとしてるのか」
「まぁ、とりあえず優秀な刑事さんだということは知ってますけど」
的なニュアンスで呟けば彼女の瞳はよりいっそう驚愕したものに変わり、私を一点に見つめた。
そして何を思ったのか「ちょっと来なさい」と急に腕を捕まれた私は半ば強制的に人がまばらなカウンターの方へと連行される。