愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

そこで私は衝撃的事実を聞くことになる。


「ちょっとここに座りなさいよ」

「へっ、わっ!」


何故か不機嫌になってます?

というより、まるで信じられないものを見るかのような視線を向けられ、則された私は戸惑いながらもカウンターのイスに座ることに…。

この人行動も強引で怖いんですけど…
そう思いながらも恐る恐る顔を上げ、視線を合わせ言葉を向ける。


「…あの……」

「彼の父親のことは知ってるの?」


かと聞かれ、やっぱり私はブンブンと否定を込めて顔を横に振った。

そう言えば彼の家族のことはまだ知らない。
今までそういう話題が出てこなかったし、私から聞いたこともなかったと思う。

だけど、コウさんのお父さんがどうかしたのだろうか?と訪ねる前に彼女は呆れたように「晃一の父親はね」と間をおかずにこう言った。


「警視総監なのよ」

「警視、総監…?」


咄嗟のことにピンとこなかったけれど、警察全体を仕切るトップの人だと付け出され、私はこの時初めて驚きの顔を向けた。

しかもそれだけじゃない。今回の昇進でコウさんは警視正に昇格するのだとか。それはもはやエリート中のエリートで、今いる警察署の所長になるわけで、
一般企業で例えるなら本部長に値する役職というのだから驚愕だ。
< 174 / 282 >

この作品をシェア

pagetop