愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
そんな彼女に圧倒されながらも、私はコウさんがどうして後輩の西田さんやその他の人達にも慕われているのかがこの時やっと分かった気がした。
だって今だってコウさんの周りには沢山の人が集まり取り囲んでいる。
すでに私の座る場所はなく、
尊敬の眼差しや親しみ、彼を慕う眼差しが皆嬉しそうで生き生きとしてるもん。
それはきっと彼だから…
コウさんが警視総監の息子だからとか、そういう単純なことじゃないよね?
そんなことで人はこんな風に集まらない。彼の仕事に対しての情熱、今まで真剣に取り組んできた姿勢そのものの結果なんじゃないかと思うから。
「えっと、教えてくれてありがとうございます」
どうして彼女が私にそんなこと話してくれたのかは分からないけど、とりあえずここはお礼を言ったほうがいいよね?
彼女の真意は掴めないけれど、何となく悪気があるようにも見えないからだ。
「分かればいいのよ。あなたも一応刑事の彼女なら警察のことをもっと勉強したら?ちゃんと把握しときなさいよ」
「……ですね。心得ておきます」
ぎこちないけど軽く頭を下げた。
もしかして心配してくれてるのだろうか?
よく分からないけど、そんな風に捉えてしまった私はやっぱりお人好しなのかもしれない。