愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
「呼べるもんなら呼んでみろよ。ただし…、俺より優秀な刑事がいるならな」
思わず目を見開く。
ど、どこからそんな余裕が出てくるんだろう…。
かなりビックリしたが、それは今まで見たことがないぐらい自信に満ち溢れていて素直に圧倒される。不覚にもときめいてしまい、見惚れている自分にハッとする。
「……ま、参りました」
もうその言葉しか出てこなかった。
悔しいけどかっこいい。良すぎるもん。
少し癪だけど、ここまで言い切れちゃう人はなかなかいない。私は見たことがない。
自分が付き合ってる人はきっと凄い人。そう思わせてくれるほど彼は頼もしいっていうか、今の仕事に誇りをもっているんだと思うから、このまま彼に流されようと思う。
「分かればいいんだよ」
そう言って頬っぺたを両手で引っ張られた時、私は最初こそ眉を寄せたが、次第に可笑しくなって笑顔を見せてしまった。
それを見てコウさんも優しく目を細め、笑いかけてくる。
「今日はこのまま泊まってくだろ?」
「えっ…」
でも仕事は?と聞いた私にコウさんは「明日は休みだ」と教えてくれた。
それがくすぐったくて、妙に嬉しかったりして、
「例え仕事でも帰さねーよ」
そう言ってキスをくれたコウさんに私は嬉しさのあまり泣きそうになった。
「好き」が溢れだしてくる。
ドキドキさせられっぱなしだけど、それ以上に私も彼と抱き合いたい。触れ合いたいっていう気持ちが強くなる。
「ついに大魔王さん降臨ですか?」
そう呟いた私に彼は少し笑ったけど、それからベッドに移動した私達は甘ったるい熱と交じり合い繰り返しながら甘い夜の世界へと堕ちていく。
大魔王様に容赦なく食べられながらも、私はとても幸せな気持ちで眠りにつくことができた。