愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
いつだってそうだ。
コウさんの前では私はいつもの自分じゃいられなくなる。
彼の一言一言に一喜一憂し、予想以上の温かな感情を教えてくれる。
「このまま一緒にいたいのは俺も同じなんだよ。梨央を側に置いておきたい。俺の目の届く範囲でお前を独占したいって言ったらお前怒る?」
「そんなこと……」
夢みたいだよ。
彼の気持ちが嬉しい。
心を熱く満たしてくれるようで、やっぱり言葉にならない。
嬉しすぎて涙が溢れだしてくる。
「この際言っとくが、梨央の両親もすでに了承済みだ。お前とのことを話したら快くOKしてくれたぞ。いつでも自由に貰ってくれって。……どうする?それでもお前ここて断る勇気ある?」
完全に涙腺が崩壊した私は本能のままに顔を横に振った。
すでにうちの両親まで口説き落としてたなんて、なんて計画的犯行。これじゃあまるで確信犯だ。
「だ、だったら、わたしに拒否権はないじゃないですかっ……」
苦し紛れに呟いた。
やることが抜かりなさすぎる。
初めからそのつもりだったのに、この言い回しは…ズルイ。
まんまと戦略に嵌められた私はやっぱらりコウさんには敵うはずもなく、白旗を上げるしかない。