愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
「そう言えば前にやりたいことがあるって言ってたっけ?」
「はい。これからはコウさんの体調管理は私の役目です」
「それは頼もしいな」
「だって栄養管理のできないおじさんに倒れられたら困るので」
「言ってくれるじゃねーか」
言いますよ。
これからはズバッと遠慮なく言っちゃいます。
「だからこれからもたくさん長生きしてくださいね?」
なんて茶目っ気に言ってみたけれど、なんだか急にまた恥ずかしくなってきた。
顔を見られたくなくて、思わず彼の胸に強くしがみつくと、それに応えてくれるように彼の両腕が私の背中に回される。
「ずっと一緒にいたい…、です」
「ああ、ずっとな」
ギュウっと強く抱きしめられて、せっかく引っ込んだ涙がまた溢れそうになる。
何だかすっごく幸せだ。
なんて心からの幸福を噛み締めると、私の耳元でコウさんは言った。
「梨央…、男への偏見、俺が変えてやるから」
囁くように言われ、えっ…と言葉を交えて息を飲む。
「正直未来なんてどうなるか分からない。お前が言う通り絶対とも言いきれない。……けど、俺が隣で証明してやる。梨央が思ってるほど男ってもんも案外捨てたもんじゃないんだって。
今この瞬間、一瞬一瞬お前はちゃんと愛されてるんだって嫌ってほど感じさせてやるからその目でしっかり焼き付けとけ。いいな」