愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

「結婚はいいぞ〜」


なんて得意気に言ってくる敦士に当然俺は真顔で鋭い目付きだけを向ける。

人の気もしらないで偉そうに…

そう思ったが、睨みを効かせた俺はあえて何も言わず煙草の煙を深く吸って吐き出した。

これでもちゃんと梨央と話し合った結果なわけで、お互い納得済みのことだ。


「まぁ、でもほらさ。結局俺の想像通りになったよな。ちゃっかり梨央ちゃんを自分の手元に囲っちゃった訳だし」

「あ?」

「お、何だよ。何だか面白そうな話をしてんじゃねーか」


そこへ弦さんまでもが興味深そうに顔を突っ込んできた。

俺はチッと態度を悪くし、あからさまな顔で眉を八の字に変える。


「弦さん、こいつったらさー」


そこでこいつは梨央の幼馴染みに嫉妬したあげく、焦った俺がそのまま彼女を永久逮捕しただなんてふざけたことを言いやがった。

これには俺もカチンと脅しをかける。


「お前、それ以上言うとこの前後輩の若い女に言い寄られて鼻の下伸ばしてたこと唯にチクるぞ」

「げっ」


敦士はギクリと態度を改める。

別に鼻を伸ばしてた訳じゃない。驚いて動揺してただけだなんてムキになる姿を一喝して俺はやれやれと弦さんの店を後にした。
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