愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
「い、意地悪……」
「けど嫌じゃないだろ?」
肩に置かれた手を掴み、さりげなく背中に腕を回した。
ニヤリほくそ笑んだ俺は「で?何か要望は?」ともう一度聞き返し、顔を近付ける。
そんな俺に懲りず動揺している梨央だけど、少しの間俺から視線を反らし考える素振りを見せたあと、最終的に出てきた言葉はやっぱり彼女らしいものだった。
「えっと、今はこれと言って欲しい物はない、です」
「ふっ、相変わらず欲がねーな。遠慮とかしてる?」
そう聞きつつ、彼女が嘘をついてるようには見えない。
実際本当にこれと言って思い付かないのだろう。
そして俺もサプライズ的なことは性格上あまり得意ではないわけで、どうせなら彼女の欲しいもの、やりたいことを一緒に見て回りたいと言うのが本音だったりする。
「あ、じゃあ、せっかくなのでもう少し考えてみますね」
結局そういうことでその話は打ち切りとなり、会話が途切れ静かな空気になった瞬間、さっきの続きと言わんばかりに俺は油断した梨央をそのままソファーに押し倒した。
唖然とする梨央の衣服を素早く捲り上げ、首から一気に抜き取った。
「ちょ…」
「まだ寝かせねーよ」
「…っ……」
期待を含んだ瞳に笑いかけた。
夜はまだこれから…
梨央をもっと、飽きるほどもっと…
抱きたいという衝動に駆られた姿を前にして、きっと彼女の瞳には俺は野獣。この時欲望のかたまりにしか見えなかったのかもしれない。